コケを食べるコバネガ類の進化などについて研究してきた今田弓女さんより、古生物学を取り入れた最近の研究成果について講演していただきます。
日時:2018年12月5日(水)16:30-18:00
場所:高知大学 物部キャンパス 3-1-11教室
講師:今田 弓女 博士(愛媛大学 理学部 生物学科 特定助教)
演題:現生・化石のコケ類から植食相互作用の源流をたどる
要旨:
コケ類はきわめて古い陸上植物であり、中期オルドビス紀(約4.7億年前)には出現していたとされる。維管束植物に比べ、コケ類は動物との相互作用が非常に少ないと考えられてきたが、その実態は不明であり、また背景にある要因もほとんど検証されていない。しかし近年、中期デボン紀(約3.8億年前)のコケ類化石から節足動物によると思われる食痕が発見された。これによって、コケ類は最も長期にわたって節足動物と関わってきた現生の陸上植物であることが示唆された。また、コケの小ささゆえに長らく見逃されてきた現生の数々の相互作用の存在も明らかになってきた。こうしたコケと節足動物の相互作用について、演者は生物学と古生物学の双方の視点から解明しようと試みている。本講演では現在取り組んでいる研究内容と今後の展望についてお話ししたい。