2018/11/09

マイマイガ

森林害虫であるマイマイガの大発生と、その個体群を制御するウイルスについての講演です。

日時:2018年11月21日(水)16:30-18:00
場所:高知大学 物部キャンパス 3-1-11教室
講師:井上 真紀 博士(東京農工大学 講師)
演題:森林害虫マイマイガの発生動態と核多角体病ウイルスの生活史戦略

要旨:
マイマイガLymantria disparはチョウ目ドクガ科に属し、旧北区に広く分布する。約10年周期で大発生を繰り返し、森林生態系や人々の生活に大きな影響を及ぼす。大発生はウイルスなどの病気の蔓延によって終息し、その後低密度期が続く。本種はまた、北米で侵略的外来種として大きな問題となっており、さらなる侵入を防ぐため、マイマイガ飛翔期間に日本を含む極東地域に寄港した船舶は不在証明を必要としている。このため、マイマイガの個体群制御方法の確立は重要な課題であり、そのためには生態特性や天敵の情報が必要であるが、日本での研究はほとんど行われていない。加えて、日本のマイマイガ種群の分類は未だ整理されていない。そこで演者は、日本におけるマイマイガ種群の分子系統解析を行うとともに、発生動態や大発生時の生息適地の推定を行った。また、マイマイガの個体群制御に重要な役割を果たす核多角体病ウイルスが、個体群動態が大きく変動する宿主に対してどのような適応戦略を採っているのかを明らかにするために、現在行っている研究を紹介する。