寄生者による宿主操作の理論研究について、下記の要領でセミナーがあります。
みなさまのご参加をお待ちしております。
日時:2019年12月6日(金)16:30-18:00
場所:高知大学 物部キャンパス3-1-11教室
講師:入谷亮介 博士(理化学研究所・数理創造プログラム)
演題:宿主操作現象を群集の中で理解するための理論的アプローチ
要旨:
寄生者の中には、一種の宿主種(中間宿主)の行動を操作し、二種目の宿主(終宿主)に食べられやすくするという、宿主操作を発現するものがある。寄生者による宿主操作によって生活史を遂げる確率が高まるため、宿主操作は自然淘汰により有利であり、多くの分類群に見られる現象である。また、宿主操作は中間宿主の見た目や行動の奇抜な変化をもたらすことから、長らく注目されてきた現象である。本講演では、そうした宿主操作現象の例を紹介するとともに、演者自身が共同研究を通じて取り組んでいる、宿主操作現象を理解するための数理モデルを紹介する。注目する現象は、2つある。ひとつめは、宿主操作の「度合い」が、時間的に変化する、スイッチング現象であり、ふたつめは、群集における宿主操作の進化現象である。これらに焦点を当て、宿主操作現象の真の姿を理解することに繋げること、そして多くの研究者が本フィールドに興味を持ってもらうことを目指して講演する。数式は多用せず、数理モデルから導かれた予測の生物学的エッセンスを伝えることを心がける。