日時:2020年2月6日(木)13:10~14:40
場所:高知大学 物部キャンパス 4-1-13教室
講師:土居 秀幸 博士(兵庫県立大学大学院シミュレーション学研究科)
演題:環境DNAによる水圏生態系の生物種構成・遺伝的多様性調査手法の開発
環境DNA(環境中に遊離しているDNA断片)を用いた生物分布、種構成、遺伝的多様性の研究が近年急速に進展している。例えば、1Lの水を採水するだけで、ある水域での生物種の分布や生物量、魚類の種組成などを明らかにすることができ、革新的な生物調査技術として注目されてきている。演者らのグループはこれまで、環境 DNAを用いて、湖沼、河川、汽水域などの陸水生態系における生物の種組成を推定するとともに、外来種や希少種を早期発見するメタバーコーディングの手法を確立してきた。さらに、環境 DNA から遺伝的多様性を推定し、有効集団サイズを含む集団遺伝学的解析を可能にする技術を開発しつつある。この技術の実践により、生物群集調査や生物多様性の評価をより低コストで広範囲・高頻度で行うことができるようになり、生態学での調査を劇的に変革させる可能性がある。本セミナーでは、これまでの海洋や陸水域で行われたCREST 、推進費における環境DNA研究の成果について紹介する。さらに、今後の環境DNA,RNA研究の発展、先端オミクス技術を使った展望などについて紹介する。
(画像は環境DNA学会ホームページ http://ednasociety.org/edna より)