2020/05/18

生物初・オスとメスが互いを食べ合うクチキゴキブリ

日時:2020年5月26日(火)15:00~16:30
講師:大崎 遥花(九州大学大学院 システム生命科学府/日本学術振興会特別研究員DC1)
演題:生物初・オスとメスが互いを食べ合うクチキゴキブリ

本講演はZoomを利用したオンラインセミナーとなります。
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配偶ペアのオスとメスが互いの体の一部を食い合うゴキブリをご存知だろうか。
日本産クチキゴキブリ属の一部の種において、配偶個体同士が交尾の際に互いの翅を食い合う行動が知られている。クチキゴキブリは食材性で、両親が子の保護を行う亜社会性ゴキブリである。翅の食い合いは、交尾の前後で一方の性がもう一方の性に食われる「性的共食い」と、配偶時に相手にギフトを渡す「婚姻贈呈」の2通りの解釈ができる。しかしどちらであったとしても両性がお互いに食べるという例はこれまで報告がない。よってこの2つの現象でこれまで考察されてきた「一方の性が食う意義」では「両性が食い合う意義」を説明できない。さらにクチキゴキブリの翅は痕跡器官のような食われるためにある翅ではなく、飛翔可能な機能する翅である。したがって食われた個体はその後生涯を通じて飛ぶことができなくなってしまう。翅の食い合いはこれらの観点から、奇怪極まりない行動と言えよう。
本講演では、リュウキュウクチキゴキブリの成虫ペアの翅の食い合いを飼育条件下で撮影した映像を交えながら、翅の食い合いの意義を解明しようと奮闘してきた自身の研究について紹介する。とはいえ、先行研究はほぼ皆無であり、発表者のビデオ撮影まで過程の詳細を記録した研究もなかったような題材であるため、紹介というよりはむしろ翅の食い合いの意義について聴衆の皆様と議論したいと考えている。
発表後は、発表者が実際にゴキブリを飼育している様子もお見せできる予定です。ご興味のある方はそのまま楽しんでいただきたいと思います。


お問い合わせ:鈴木紀之(高知大学 農林海洋科学部 生物多様性管理学研究室