2020/05/20

盗タンパク質による生物発光

日時:2020年6月16日(火)15:00~16:30
講師:別所-上原 学(名古屋大学 高等研究院YLC特任助教)
演題:盗タンパク質による生物発光 〜ウミホタルを食べて光るキンメモドキ〜

本講演はZoomを利用したオンラインセミナーとなります。
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生物発光は収斂進化を研究するための格好の題材である。なぜなら、細菌から昆虫、魚類と様々な系統で独立に進化してきているからであり、また、発光反応の鍵となる酵素タンパク質のルシフェラーゼ遺伝子の進化過程を調べることでその発光形質の起源に迫ることができるからである。
魚類だけでも11目42科で発光魚が報告されており、少なくとも27回も発光は独立に進化したと考えられている。ある種は発光バクテリアと共生することで発光能力を進化させたが、他の多くの発光種がどのように発光形質を進化させたかについては不明であった。なぜなら、魚類のルシフェラーゼが解明された例がなかったからである。これらの発光魚はルシフェラーゼをどのように進化させたのだろうか。光らないタンパク質がどのような分子進化をへて光るようになるのか、それを明らかにすべく私は研究を開始した。ところが、キンメモドキから発見された「盗タンパク質」は全く別の進化のプロセスを提示した。なんと、キンメモドキは甲殻類のトガリウミホタルを食べることで、発光能力を「盗んで」いたのである。
 本セミナーでは、キンメモドキの研究から盗タンパク質が見つかった経緯や、生物発光が生態系の中に占める割合やその重要性などを紹介したい。


お問い合わせ:鈴木紀之(高知大学 農林海洋科学部 生物多様性管理学研究室