2019/06/04

精子経済理論

行動生態学、性比理論に関する講演です。ご来聴お待ちしております。

日時:2019年6月8日(土)14:50-16:20
場所:高知大学 物部キャンパス1-1-13教室
講師:安部 淳(明治学院大学・教養)
演題:精子の数をめぐる雌雄間の攻防:精子経済理論とその実証

要旨:
雌の交尾頻度に関する問題と雄の精子競争にともなう精子分配の問題は、それぞれ理論と実証の両面から精力的に研究されてきた。しかし、これら雌雄の配偶戦略は、交尾時に授受する精子数をめぐり、お互いに影響し合って進化すると考えられる。そこで、これまで独立にとらえられていた雌の交尾頻度と雄の精子分配が、共進化する状況を理論的に解析した。その結果、集団全体で精子量が制限されやすい状況では、雄は交尾相手の数を稼ぐため交尾当りの射精量を小出しにし、雌は十分な精子量を確保するため複数回交尾する状況が進化的に安定になると予測された。集団全体の精子量は、例えば集団性比が雌に偏るほど制限されると考えられる。母親の性比調節により性比が雌に偏る寄生バチや、共生細菌の影響で性比が雌に偏るチョウやテントウムシの仲間について、現在行っている実証研究についても紹介する。

精子経済理論によると、集団の性比が雌に偏ると雄の射精量の小出しと雌の複数回交尾が予測される。写真は寄生バチMelittobia australicaの雄(中央のオレンジ色の個体)と雌(周囲の黒い個体)。Abe & Kamimura (2015; American Naturalist) から転用。