日時:2023年6月5日(月)14:50〜16:20
場所:高知大学 物部キャンパス 暖地フィールドサイエンス教育研究センター 講義室講師:大久保裕作(岡山大学工学部講師)
演題:生態学における統計的分析との関わり方を考える
生態学分野において、観察や実験で得られたデータを統計的に分析することは不可欠であると考えられてきた。しかしながら、近年の生態学で応用される統計的手法はますます専門化・複雑化を遂げており、その原理や全体像を把握することは徐々に難しくなっている。果たして生態学者はどのようにして統計的分析に向き合えば良いのだろうか?いっそデータ分析の専門家に全て任せた方が効率的なのだろうか?あるいは近年の統計分析はやり過ぎで、そもそも過度に複雑な手法を使う必要などないのだろうか?
本発表では、さまざまな統計手法の背後にある“価値論“に注目することでこうした問いを検討する。統計学を広義の数学として捉えると、特定の手法になにかしらの価値判断が結びつくことは奇妙に感じられるかもしれない。ところが、統計学者同士の議論を慎重に分析すると「どの手法で分析すべきか」という議論の背後に「なにをもって“良い“分析と見做すか」をめぐる価値判断の問題が見えてくる。こうした点を専門的な数学を使わずに紹介し、実際のデータ分析への示唆を議論する。
問い合わせ:富田幹次(高知大学)