日時:2023年7月31日(月)15:00〜18:00
場所:高知大学 物部キャンパス 附属暖地フィールドサイエンス教育研究センター 1階 講義室
講師:草野 広大(University of Nevada, Reno)演題:生態学的アプローチで人間社会と人間心理の多様性を理解する
日本では、週に約1回の頻度で最大震度4以上の地震が発生しています。また、モンゴルの気候は夏には最高気温が40℃まで上昇し、冬には最低気温が-30℃まで下がることがあります。これらの異なる環境条件下では、社会の形成や人間心理も異なるのではないでしょうか。
本セミナーでは、最新の研究結果を交えながら、人間社会と人間心理の多様性の根源を探求します。近年の人文科学(心理学や人類学など)では、生態学や進化生物学の理論を取り入れる試みが盛んに行われています。この学際的なアプローチの基本的な考え方は、「人間の心理や社会は環境への適応の過程で形成される」というものです。環境とは、自然災害などの「自然に発生する」要因だけでなく、格差や貧困などの「人工的に作り出される」要因も含まれます。これに基づいて、セミナーでは民主主義(政府が個人の自由を保証する政治体制)、集団主義(個人の自由よりも集団を重視する文化的価値観)、宗教心(超自然的な力や存在への信仰)がどのように環境に適応する過程で形成されるのかを解説します。さらに、地球温暖化や戦争、パンデミックなどの危機についても議論し、将来の変化を予測するために人文科学が果たす役割についても検討します。