2023/11/20

川魚の空間的選別


場所:高知大学 物部キャンパス 暖地フィールドサイエンス教育研究センター 1階講義室
日時:2023年12月5日(火)15時
演者:山田 寛之(愛媛大学 理工学研究科 学振PD)
演題:河川性魚類に作用する流下による空間的選別
 
河川生物の下流方向への移動分散を流下という。流下はしばしば表現型依存的に発生する。例えばグッピーの仲間やサンショウウオの幼生では、遊泳力が弱い小型個体ほど流下しやすいことが知られている。表現型依存的な流下は、河川上流域から特定の表現型を選択的に除去する進化圧となる。近年、表現型依存的な移動・分散に基づく進化メカニズムは「空間的選別」と呼ばれ、適応度に基づいて作用する自然淘汰とは区別されている。
 
流下による空間的選別は、流下した個体が再び川を上り、元の場所に戻ってくる場合に打ち消されてしまうだろう。しかし、堰堤や滝などの移動障壁の上流に隔離された集団(隔離集団)では、障壁の段差のために、流下した個体が再び戻ってくることはない。そのため流下による空間的選別の進化圧は、このような隔離集団に長期的に累積し、独自の流下回避形質を創出する可能性がある。
 
演者はこれまで、サケ科魚類(紀伊半島南部のアマゴと北海道南部のイワナ)の稚魚を対象に、この進化仮説の検証に取り組んできた。本発表ではそれらの研究成果を紹介すると共に、四国の棚田の細流に生息するタカハヤを対象とした、現在進行中の研究進捗についてもお話ししたいと考えている。

連絡先:富田幹次ktomita38(a)gmail.com